キヨスクの売り上げで、その日暮らしを続けるフィデル。
(多分、日本円にして≒400円だろうな~)
そんな彼の荒んだ生活を見るに見かねた理事長は
(と言っても、野宿も野糞も平気でする彼にとっては、400円で満ち足りた生活をしているのだけれど)
「お前、カネは出してやるから、とにかく大学くらいは卒業しろ!」
と、今学期から3流のカンパラ国際大学に通い始めた。
僕
「で、専攻は何にしたの?」
フィデル
「バナ~ンゲ!(オー・マイ・ゴッド!)チェッチリオ(何故かフィデルは僕のことを「チェッチリオ」と呼ぶ)、俺がムセベニ大統領信者だってことを忘れたのか!?もちろん政治学専攻に決まってるだろ!」
僕
「何ーっ!?じゃあ、将来は政治の分野に進むのか!?」
(無理だと思うけど・・・)
フィデル
「何言ってんだ、チェッチリオ!俺がソルジャー志望だってことも忘れたのか!?卒業したらもちろんアーミーに入るに決まってるだろ!」
(それなら、大学なんて通わないで入隊すりゃいいのに・・・)
僕
「はぁ~っ、そうなんだ・・・で、勉強は楽しい?」
フィデル
「あぁ、女はたくさんいるし、そのうち彼女も見つけられるさ!」
(あ、勉強なんかどうでもいいってことね・・・)
明らかに理事長のカネはドブに捨てられているようなものだけれど
フィデルは通学で何かと忙しくしており
ここ最近は見掛けることはなかった。
キヨスクも
どこで見つけてきたのかは知らないが
乳飲み子を抱えたパートに任せっきりだった。
そんなフィデルが久々に帰って来た。
冷蔵庫を携えて。
日本で「三種の神器」と呼ばれていた頃の
旧式の冷蔵庫を携えて。
フィデル
「俺がいない間にキヨスクもすっかり汚れちまったなー!」
と、掃除を始める。
アーノルド
「掃除したって、汚ねーモンは汚ねーよ!この店のモノは何から何までセカンド・ハンドだしな!カーペットも中古、陳列棚も図書室から借りパクしてきた本棚、昨日の売れ残りも平気で売るつけるし!どうせ冷蔵庫もスクラップ屋でタダ同然でもらってきたんだろ?大体、お前自身が一番ポンコツじゃねーか!」
フィデル
「バナ~ンゲ!でも見てくれよ!この冷蔵庫、ちゃんと冷えるぜ!ホラ!」
アーノルド
「今まで散々ぬるいコーラを飲まされてきたからな・・・冷蔵庫を入れんのが遅かったくらいだぜ!」
今もこうしてブログを更新している最中にも
隣のキヨスクからは
フィデルが誇らしげに
生徒たちに冷蔵庫を自慢している声が聞こえてくる。