相変らずフィデリー・マートは貧相な品揃えで営業している。
にも関わらず
生徒たちは外出も儘ならないので
彼らにとってはフィデリー・マートが命綱とも言え
常に大盛況。
「俺はビジネスマンだ!リッチなんだ!」
と調子に乗っている。
杜撰な経営・小汚い店舗に
東アフリカ・ナンバー1のマケレレ大学で経済学を専攻したアーノルドは
苦笑とも失笑ともつかぬ笑みを浮かべ
「アイツ、アレでビジネスだって。しょーがない野郎だな~・・・」
と僕に語りかける。
フィデル
「Hello my friends !、ま、中に入ってくれよ!」
アーノルド
「相変らず何も無ぇ~な~・・・女子高生が喜ぶように、たまにはチーズとかケーキを置けってんだ!いつもサモサとチャパティしか置いてね~じゃんかよ~!このサモサにしたってだな~・・・パクッ、モグモグモグ・・・何だコレ!?It tastes like a piece of shit !(う○この味しかしねーじゃねーかよ!)」
フィデル
「オー・マイ・ゴ~ッド!そんなこと言わないでくれよ!」
と笑っている。
(コレはチョットおもしろいな・・・)
と思った僕は
「アーノルド、じゃあ、そのチャパティはどんな味?」
と尋ねると
「Piece of SHIT !」
「ドーナツは?」
「Piece of SHIT !」
「この店自体は?」
「Piece of SHIT !」
「オーナーのフィデルは?」
「Piece of SHIIIIIIIIIIT !」
と畳み掛けた。
さすがに自分自身までもを、う○こ呼ばわりされたフィデルは
「そんなことを言うなら、もう俺の店から買わないでくれ!」
と怒り出してしまった。
アーノルド
「まぁまぁ、冗談だって。だけどよ~、ペンキを塗って店を綺麗に見せたり、利益でもって品揃えを豊富にするのがビジネスの基本ってもんだぜ。ところで今日の利益はどんくらいあんの?」
フィデル
「ん~と・・・今日の午前中に限って言えば・・・ほとんど無いかな?」
アーノルド
「何だよ!それじゃあ、仕入れ値と売り値が同じってことか!?お前、悪いことは言わないから、ミスター・チムリと俺にこの店を譲れって!俺たち先生を辞めてこの店に専念して、この Piece of SHIT を大きくしてやるからさ!」
また、自分の店をう○こ呼ばわりされたことも気付かずに、フィデルは
「あ~、わかったよ!その代わり、お前らにこの店の経営権を売ったカネで、俺はリッチな生活を送ってやるわ!そのカネがお前らに払えると思うのか!?」
と脅しにかかった。
アーノルド
「で、幾らで売ってくれんだよ?」
フィデル
「聞いて驚くなよ!500,000シリングだーっ!!」
(500,000シリング≒2万円・・・)
アーノルド・僕
「安っ!?たったの500,000シリング!?じゃあ、買うよ!!」
脅すつもりが、逆にその安さを指摘され
なおかつ
この店を失ってしまうと
・政治集会に出掛けるか
・プレミアム・リーグをスポーツ・バーにタダ見しに行くか
・理事長相手のテニスで、白星を配給する
ことしかやること無くなってしまう彼は
「あっ!?チョット待った!500,000シリングと言うのは今学期のレンタル料で、来学期には、また500,000シリング払ってもらいたいんだけど・・・」
アーノルド
「何だよソレ!言ってることが滅茶苦茶じゃねーか!もういーわ!」
と笑いながら店を出て行った。
アーノルドからは何も学習しなかったかのように
相変らず貧相な品揃えのフィデリー・マートは
今日も生徒たちで賑わっている。
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